自立援助ホーム「マルコの家」

自立援助ホーム マルコの家 施設長 野原知子さん

青少年が社会で生きていくための準備をする自立援助ホーム

自立援助ホーム「マルコの家」は何らかの理由で家庭に居場所がなく、義務教育を修了した 15 歳以上 20 歳までの青少年が暮らしています。定員は男女合わせて 8 名。スタッフと共に集団生活をしながら社会的に自立した生活を送る準備をしています。

「マルコの家」では青少年たちが” あたり前の生活” を送れるようにスタッフが掃除、ご飯の準備、青少年たちの相談に乗るなど安心・安全な生活環境を整えています。幼い頃から過酷な生活を送ってきた青少年たちは他人との信頼関係を築くことが出来ず、誰にも頼ることができませんでした。集団生活を通して話し合う、相談する、協力し合う、そして自分を大切に思うという”あたり前” を経験していきます。

 

さらに、青少年たちは自分で選び自分で決めるという経験を積み重ねていきます。この経験は入居を決めることから始まります。児童相談所の保護を受けて「マルコの家」に来所した入居対象者は「マルコの家」のスタッフからホームでの生活の説明を受けます。そこで本人の「ここで生活しよう」という意思が伴い、契約を結びます。入居してからも仕事や給料の使い方など、生活のありとあらゆることを自分で選択し行動します。もちろん自分で決めたことで失敗することもあります。失敗してもやり直すことができる、失敗から学ぶことができるという” 失敗した時の保障” があることを知り、自立のための経験を積み重ねます。

また、青少年たちが退所した後も「マルコの家」との関係は切れることはなく続いていきます。「マルコの家」は青少年たちにとっ
て帰ることのできる場所になります。何か困ったことや相談したいことがあればいつ来てもいいのです。ある日、退所した青少年が「マルコの家があるから今の私は大丈夫だと思える」と言ってくれました。「マルコの家」は退所後も「安心できる場所」となっています。

「マルコの家」では自立援助ホームやそこを必要としている青少年が存在することを知ってもらうことを目的に啓蒙活動に力を入れています。薬物関係やフードバンクなどの講師を呼んだ勉強会や、青少年を取り巻く社会課題をテーマにした映画会を企画して実施してきました。また、人が多く出入りするバザーや地域の祭りへのブース出店、寄付活動を通した街頭呼びかけ運動もしています。

「知った責任」

「マルコの家」は前ホーム長の小田さんの想いのもと、2010 年に栃木市で開所されました。当時、自立援助ホームは栃木県内では宇都宮に 1 か所しか存在していませんでした。元々里親活動をしていた小田さんは「栃木県内だけでもまだまだ行き場のない青少年たちがいる」と感じていて、「そんな若者たちの支援をしたい」という気持ちを抱いていました。当時小田さんは単独で動いていました。共に活動する仲間を探す中、「自立援助ホームを立ち上げたい」と社会福祉法人「イースターヴィレッジ」に相談したところ、当法人を母体として始めようと話が進むことになります。

そして、現ホーム長である野原さんに立ち上げスタッフとして声がかかることになります。野原さんはそれまで自立援助ホームのことを知りませんでしたが、話を聞いたときに「知ってしまった責任」を感じました。「自立援助を必要とする青少年たちがいることを知っているのに何もしないわけにはいかない。私に出来ることがあればやってみよう」と想い、「マルコの家」のスタッフとして携わることになりました。働きながら一人の人間として青少年たちと真伨に向き合い、彼らと共に道を歩んできました。開所から 7 年経った時にホーム長の立場を受け継ぎ、今もホーム長として「マルコの家」を引っ張っています。


これから

「マルコの家」が出来てから 10 年経ちますが、社会が変化するにつれ、自立援助ホームも利用者も変わってきています。以前は非行によって保護される青少年が多かったのですが、最近は精神的な障害や知的障害を持つ利用者が増えてきています。このような人たちは仕事を探すことが中々難しく、就職することも困難となっています。そこで、社会と繋がれる場所として「マルコの家」が就労支援を行えたらいいなと思っています。

例えば「マルコの家」がこども食堂などを企画して手伝いに来てもらうということでもいいと思っています。「マルコの家」としては「どんな青少年たちも社会と何かしら繋がっていてほしい」という想いがあるので、そういう居場所を作っていきたいと考えています。

団体概要はこちら

県南地域コーディネーター 宮岸さん
想像以上に過酷な養育環境を過ごしてきた利用者が多いようです。野原さんは自分にも青少年たちにも正直に向き合っているように感じました。そのような人が働く施設だから利用者の自立に繋がるような気がします。本当に必要な施設だと思いました。